はじめに : 背景

YSGSのブログ記事「ドイツにおける日系企業の採用機会」を読んで、ヨーロッパ出身の経験豊富なプロフェッショナル人材(ここではインタビュー対象者Aさんと呼びます)が、自身の体験談を話してくれると連絡をくださいました。彼はヨーロッパの自動車業界で20年以上の営業・事業開発マネージャーとしての経験を持ち、その大半は日系および欧米の多国籍企業で働いた経験を持ちます。Aさんは、日系企業における現地ドイツ社員、その他国際的なバックグラウンドを持つ社員が実際に経験してきた在ドイツ日系企業内での組織文化、障壁、機会についてユニークな視点を提供してくれました。


自動車産業変化、挑戦、そして不確実性

今回インタビューをさせてくださったAさんは、欧州自動車業界の激動を目の当たりにされてこられました。レイオフやリストラ、業界のトップを走る大企業でさえ市場の方向性について明確な答えを持っていないことを指摘し、「複雑だ」と彼はおっしゃっていました。雇用凍結や組織再編が常態化するなか、この分野で長く確かな経験を積んできた専門家たちは、新しい職務に就くのがとりわけ難しいと感じています。日系企業に長年勤めた彼自身の転職活動は何年にも及び、適切な仕事を見つけるまでに何度も面接を受け転職活動に苦労したと言います。


文化的・構造的障壁

私たちの対話の中で最も強いテーマのひとつは、ドイツではドイツ人以外の外国人プロフェッショナルがキャリアアップを目指す上で、さらなる困難が待ち受けているということでした。Aさんは、ドイツ語が堪能であるにもかかわらず、企業がしばしば現地の人材を好むことを説明されていました。彼はまた、自動車産業における管理職や営業職は、彼の専門分野ではないエンジニアリングのバックグラウンドを持つ人が一般的であることを強調されました。

日系企業の中には、さらなる障壁が存在します。経験や実績に関係なく、キャリアパスを形成し、ドイツ以外の国の出身者のキャリアパスを制限する構造や選好があるようです。


日系企業と欧米企業:何が違うのか?

このインタビューは、日本のビジネス文化と欧米企業のビジネス文化の間にある鋭いコントラストを浮き彫りにしてくれました。インタビューに応じてくださったAさんは、グローバルに展開されている日系企業の多くでは、重要な意思決定は本社を通じて行われ、主導的な役割はしばしば日本本社から派遣された海外駐在員に任されていると言及しています。現在の円安の影響で円ベースの計算による予算上の制約から、経験豊富な現地マネージャーに市場競争力のある給与を提供することがさらに難しくなり、他により良い機会を求めるようになることもあります。


現地社員のインクルージョン、リテンション、そして逃した機会

彼の経験で特に印象的だったのは、日本の文化に海外現地社員をインクルージョンを支援する取り組みが会社にはないことでした。長年日系企業に勤めても日本語を学ぶ機会や日本のビジネス文化を学ぶ機会がないことを指摘してくれました。このような小さな取り組みが、従業員が会社に溶け込み、評価され、会社の未来に投資していると感じられるようにする上で、大きな違いを生む可能性があるという意見を共有してくださいました。

また、経験豊富な現地社員が、特に新任の日本人駐在員のメンターとなることが会社から推奨されない場合、現地社員のマネージャーとしての成長と新任の駐在員の現地での成長の可能性を限定する指摘してくれました。より協力的な知識交換は、双方に利益をもたらし、組織内の多様な強みをよりよく活用することができるでしょう。


変化には一貫性とリーダーシップが必要

このような問題を認識しているオープンマインドなリーダーは稀であり、在任期間が短いため、意味のある変化を根付かせることができなかったり、長期的な障害を取り除くことができなかったりすることが多くあります。


多様性、ジェンダー、そして聞くことの価値

Aさんは、ドイツに進出している日系企業の女性管理職と話すように下川にに勧めてくれました。ドイツ、日本の両方の文化的背景の違い、ジェンダーの違いによって見えるの視点、特に非ヨーロッパ人としての視点は、凝り固まった男性優位の構造を打破するための課題をさらに浮き彫りにしてくれるだろう、と。彼は、この分野は日系企業がヨーロッパ企業から多くを学べる分野であり、女性のエンパワーメントのための小さな変化がビジネス全体に非常にプラスに働くと見ているようです。


結論 : 最終的な感想

Aさんとのインタビューを通して、ドイツに進出している日系企業にとっていかに以下のポイントが重要であるかを改めて感じることができました:

  • 現地社員の多様な才能を認め、成長の機会と教育にと投資をすること。
  • 有意義な文化統合(Diversity&Inclusion)の機会(語学コースや文化研修など)を提供すること。
  • ヨーロッパ現地の経験豊富なスタッフ、マネージャーを新任の日本人駐在員のトレーナーとして登用すること。
  • それぞれ個人におけるポジティブな変化や成長機会は会社の文化を作り上げる上で重要な要素であること。

インクルージョンの拡大に向けた小さな一歩は、永続的な影響をもたらす可能性があります。世代が変わり、それぞれの期待値が変化するなかで、こうした取り組みは単なる道徳的な義務ではなく、競争の激しいドイツ市場で成功を収めたいと願う企業にとって戦略的に必要なものなのだと言えます。

YS Global Search(YSGS)について

YS Global Searchは2024年2月、ドイツのデュイスブルクに設立されました。ビジョン、ミッション、バリューに基づき、クライアントには最高の人材獲得体験を、候補者には最高のキャリアコンサルティング体験を提供しています。弊社はヨーロッパ、特にドイツにおける現地管理職のヘッドハンティングとエグゼクティブサーチに特化しています。私たちは、クライアントに候補者のプールを、候補者に仕事を提供するだけの人材紹介会社ではありません。経験豊富でプロフェッショナルな人材をご紹介することで、クライアント企業の組織を強化し、充実させるビジネスパートナーであることをお約束します。また、求職者の方々の生涯のキャリア開発パートナーとして、キャリアの節目節目を通して、その成長と満足をサポートすることをお約束します。

下川ゆう

  • 国際的なエグゼクティブ採用のスペシャリストとして、ドイツにおける現地管理職の人材紹介を行います。
  • エグゼクティブ・サーチ、人材紹介、ヘッドハンティング・コンサルタントとして15年の経験
    1. 東京、日本、1年間
    2. タイ・バンコクで10年
    3. デュッセルドルフ、ドイツ 4年以上
  • 現在ドイツ、デュイスブルク在住

詳細は?

無料相談会の予約