2025年3月25日、私はHRtalks by europelanguagejobs.com主催の「ドイツ語スピーカー人材採用における注意点」というウェビナーでお話ししました。ここでは、セミナーの主なトピックを要約して紹介したいと思います。
下川ゆう
- ドイツにおける現地マネジメント人材採用専門家。
- エグゼクティブサーチ、採用、ヘッドハンティングコンサルタントとして計15年の経験:
- 日本 (東京) 1年間
- タイ(バンコク)で10年間
- ドイツ (デュッセルドルフ/デュイスブルグ)約 5年間
- 現在、ドイツ・デュイスブルク在住
Table of Contents

ドイツ人材採用市場で優秀人材獲得を目指す企業にとって、ドイツ語スピーカーの人材採用はビジネス成功のカギとなります。下川優のドイツでの5年にわたる人材紹介およびエグゼクティブサーチの経験に基づき、ドイツでの採用を効果的かつ文化的に配慮した有効なプロセスにするためのヒントをご紹介します。下川は400人以上のドイツ語スピーカー候補者と面接をドイツでの人材紹介を行ってきました。その経験を通じて、ドイツ語話者の興味深い特徴や傾向をご紹介します。
ドイツ語スピーカー人材の特徴
仕事に対する倫理観
ドイツ語スピーカー人材は、慎重で、細部にこだわり、正確で、時間厳守を重視することで知られています。 彼らは効率性と生産性を重視し、時間を無駄にすることを好みません。 彼らとの信頼関係の構築には時間と努力が必要ですが、一度信頼が確立されると、その関係性はたいへん結びつきが強く長続きする傾向があります。
コミュニケーションスタイル
ドイツ語スピーカー人材とのやり取りでは、コミュニケーションスタイルをドイツでの風習に適応させることが重要です。敬意を示すために、Mr.、Ms.、Mrs.、Dr.などの敬称を使用してください。特に初めてメールを書くとき、初めてのミーティングの時などはDu(ドイツ語であなた、よく知った間柄もしくは明らかに年齢が下の相手などに使います)ではなくSie(初めて会う方、まだよく知らない方、目上の方に対して敬意をもって使うあなた)を使ってください。初回の面接では特に相手に合ったアプローチで候補者に接し、仕事内容、採用の背景、組織構成、将来的に繋がるであろうキャリアパスについて詳細な情報を説明して伝えてください。ドイツでは、最近AIによって書かれた同じような求人紹介のメールや求人広告に対して不信感を抱く人も増えてきています。なぜ他の候補者ではなく、面接をし採用をしたいと思う優秀な候補者に対しては特にその方がどうして募集のポジションにふさわしいのか、他の方ではなくその方と仕事をしたい理由などをしっかり説明しアプローチをカスタマイズすることがドイツでの人材採用において大きな違いを生むでしょう。
キャリアパス&キャリアアップ
キャリアパスを示し、キャリアアップとなることを証明することは、ドイツで優秀人材をを引き付けるための重要なポイントです。 単に給与アップや職位あだけでなく、候補者は職責のが増え責任をもった仕事ができるか、日系企業のマネジメントが権限の委譲をし信頼して任せてくれるのか、マネジメント経験を積めるのか、ドイツ国内だけでなく国際的に活躍する機会があるのか、その他にスキルアップをするための研修や海外駐在の機会を求めています。 健康とメンタルケア、育児、介護など、家族のケアに対する福利厚生やサポートを提供することも、長期的に従業員を維持するのに役立ちます。
採用企業ブランディング
採用企業ブランディングは、人材売り手採用市場であるドイツでの成功の鍵です。 ドイツ語スピーカーは、仕事内容、魅力的な福利厚生、柔軟で健康的な職場環境、前向きで協力的な社風を持つ企業を探しています。 ドイツ語スピーカーは長期的な安定を求める傾向があり、応募プロセス中ですでにできるだけすべての詳細を慎重に確認し、オファー段階で雇用契約書のドラフトを確認し署名する前に弁護士に相談することがよくあります。
希望給与
ドイツは、周辺欧州諸国に比べて高い給与水準を保っています。特に大卒以上、修士博士号取得者、エンジニアのバックグラウンドを持つ方や営業、マーケティング、会計ファイナンス、人事など専門性を持つ候補者の給与水準は高いことが特徴です。 例えば、エンジニアリング背景を持つ修士号または博士号取得者は、新卒でも年収のスタートが50,000ユーロから60,000ユーロが一般的です。 また、欧州系製造業の営業、キーアカウントマネージャーは、基本給100,000ユーロから120,000ユーロにプラスでパフォーマンスに応じたコミッションが支払われ、プライベートでも使用可能な社用車がつくことが一般的です。 一方採用企業が理解しておかなければならない点は、ドイツでは社会保障、国民年金、所得税の負担も高く、総収入の40%~50%以上が引かれ手取り額に大きな影響を与える可能性があることに注意が必要です。 また、地域によっても生活コストに差が出ることから給与水準にも差があります。ミュンヘン、ベルリン、デュッセルドルフ、ケルンなどの大都市では生活コストが高く、特に住宅費が高額なため平均給与の水準も高くなります。
詳細にこだわる重要性
ドイツ語スピーカー人材は非常に慎重で細部にこだわります。 彼らは求人オファーを受けると雇用契約書のドラフトを求めます。多くの場合、同委のサインをする前に弁護士に雇用契約をチェックを依頼します。 そのため、多くのドイツ語スピーカー人材は自身の権利と利益を守るために弁護士保険に加入しています。
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